―日本の環境には、日本の技術を―
2025年4月、プロテクトアーツ株式会社は、日本初となる国産のシェルター用換気装置『ATバリア』の販売を開始しました。これまで海外製品が主流だったシェルター用換気装置の分野において、国内での開発・製造・提供を実現した本製品は、有事における呼吸の確保をより確実なものにします。本コラムでは、換気装置の重要性とATバリアの特徴について詳しくご紹介します。
換気装置は“命を守る装置”である
核シェルターと聞くと、分厚い鉄扉やコンクリートの壁、フィルターシステムなどが思い浮かぶかもしれません。しかし、実際に人が安全に生活できる空間として成立させるには、「換気」が最も重要なファクターです。
密閉された空間では、酸素は減り、二酸化炭素が蓄積されます。さらに、外部の空気が放射性物質や化学ガスで汚染されている可能性がある以上、安全な換気がなければ“ただの密室”になってしまうのです。
そのため、シェルターにおいて換気装置は、単なる快適性のためではなく、生命維持の中核を担う装置です。
これまでの常識:「シェルター=海外製装置に頼るしかない」
日本における核シェルター文化は、欧米やイスラエル、スイスのように国家政策として整備されてきた国々に比べ、発展が遅れてきました。 特に、換気装置に関しては長年にわたり海外製品に依存せざるを得ない状況が続いていました。
海外製シェルター用換気装置は性能こそ高いものの、以下のような課題がついて回ります。
・高額な本体価格と輸送費
・設計が欧州基準のため、日本の住宅事情に適合しにくい
・修理や交換パーツの取り寄せに時間とコストがかかる
・有事の際、海外供給網が断たれるリスク
つまり、日本における換気装置の輸入依存は、「備えるつもりが備わっていない」状態を生んでいたのです。
ATバリア:日本初の国内製造・シェルター用換気装置
この状況を打破するべく、弊社が開発したのが『ATバリア』です。これは日本で初めて、企画・設計・製造のすべてを国内で行ったシェルター用換気装置であり、これまで海外製が常識とされてきた分野においては画期的な存在です。
主な特長
・高性能CBRNE対応フィルター
・陽圧換気方式による外部汚染の侵入防止
・日本の環境も考慮された設計
・非常時に対応したマルチ電源対応(バッテリー・手回し)
これらの仕様は、輸入製品では得られなかった「日本の風土に合った換気装置」を形にしたものです。
なぜ「国産」であることが重要なのか?
換気装置の性能はもちろんですが、“国産である”という事実自体が、有事の備えとして極めて大きな意味を持っています。
1. 補修・保守の即応性
製造からサポートまで国内で完結するため、部品交換やメンテナンスに迅速対応できます。輸送の遅延や在庫切れによる「機能停止期間」が圧倒的に短縮されます。
2. 住宅への適合性
日本の一般的な木造住宅やRC住宅の構造、空間制限、音への配慮などに基づいた設計なのも大きな利点です。
3. 災害時の供給安定性
有事の際、国際輸送が止まる事態でも、国内製造なら供給の見通しが立てやすく、国家・自治体の備蓄計画にも対応可能です。
空気を守る、呼吸を守るという発想
『ATバリア』の開発背景には、「有事のとき、何が本当に人を守るのか」という問いがあります。 プロテクトアーツ株式会社は、何回にも渡る施策と研究を重ね、日本人が自国で安心して呼吸を続けられる環境づくりを目指してきました。
空気は目に見えない。しかし、災害時にはまず最初に危機にさらされる。だからこそ、空気を守ることこそ「災害対策の根幹」だと私たちは考えます。
本当の意味での“備え”を
これまで、日本国内では「シェルター用の換気装置は海外から仕入れるしかない」とされてきました。しかし『ATバリア』の登場により、換気の自立=呼吸の自立が、日本においても手に届くものになりました。
輸入依存から脱却し、国産で安心を手に入れる。 災害への備えに、本当の意味での「自立」を。 『ATバリア』は、その一歩を現実にした製品です。