―プロテクトアーツの脱臭技術とは―

災害時の“もうひとつの課題”——避難所における臭い問題

地震や水害など、災害のたびに設置される避難所。家を失った人々が一時的に生活を送るその場所は、安心と安全を提供する空間でなければなりません。しかし、その避難所の環境には、表面的には見えにくい「臭い」という課題が潜んでいます。
人が集まり、限られた空間で食事や睡眠、排泄など日常生活を営むことは、必然的にさまざまな臭いを生み出します。汗や体臭、トイレ、食べ物の残り香、湿気によるカビ臭など、多種多様な臭いが混在することで、避難所にいる人々のストレスは日々蓄積されていきます。
空気中の不快な臭いは、ただの不便では済みません。においが原因で食欲が落ちたり、眠れなかったり、人との距離感が縮められなかったりすることもあるのです。災害直後という極度の緊張状態にある人々にとって、空気環境は心理的な影響を大きく及ぼす重要な要素なのです。

複雑に混ざり合う悪臭の正体

避難所で発生する臭いは、単一の物質によるものではなく、さまざまな成分が複合的に混じり合ったものです。たとえば、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタンといったガス状物質や、カビや細菌の代謝産物が空気中に漂っています。
しかも、それらは時間が経つほど強まり、人の鼻に残りやすくなります。消臭スプレーや芳香剤といった一般的な対策では、根本的な解決にはなりません。香りを足して臭いを「ごまかす」だけでは、かえって不快感を助長することすらあります。
このような“見えないストレス源”を的確に取り除くには、単なる一時しのぎではなく、科学的に裏付けされた脱臭技術が求められています。

科学の力で空気を変える——プロテクトアーツの技術力

こうした課題に対し、プロテクトアーツは「空気からストレスを減らす」ことを使命に掲げ、独自の脱臭技術を開発しています。同社の製品は、悪臭の主成分をフィルターで捕捉したうえで、触媒反応や酸化反応によって分解・除去する仕組みを採用しています。
ポイントは、“臭いの元を化学的に断つ”というアプローチ。特に、アンモニアや硫化水素のような揮発性成分に対して、高い分解性能を持つ多層構造の反応フィルターが採用されており、複合臭にも対応可能です。

臭いをなくすことが、心のケアにもなる

災害時、避難所で過ごす人々は、多くの不安や喪失感を抱えています。そのなかで、空間に漂う不快な臭いは、知らず知らずのうちにストレスを増大させ、精神的なダメージを深めることにつながります。
特にプライバシーが少ない避難所では、臭いが原因で人間関係がぎくしゃくしたり、自分のにおいを気にして必要なケアができなかったりといった問題も起こりえます。
臭いは目に見えませんが、確実に人の行動や感情に影響を与えます。そしてそれを取り除くことは、単に空気を「きれい」にする以上の意味を持ちます。臭いが軽減されることで、安心感が生まれ、他人との距離が少し近づき、睡眠の質が上がります。それは、避難生活を支える小さくも大きな要素です。

脱臭は新しい防災のかたちへ

これまでの防災備蓄といえば、食料や水、寝具が中心でした。しかし、今後の防災対策には「空気の質」も重要な備えとして考えられるべきです。
プロテクトアーツは、そうした“これからの防災”を見据え、臭いによるストレスを軽減する装置の開発に力を注いでいます。脱臭装置はまだ新しい概念かもしれませんが、それがもたらす快適性と心理的安心は、今後ますます求められることになるでしょう。
空気は、そこにいるすべての人が共有するものです。だからこそ、誰もが安心して深呼吸できる空間をつくることは、災害時のケアとして極めて重要です。

最後に“臭いに気づく”という配慮の力

避難所での臭いに真正面から向き合うことは、「人間らしさ」を守ることでもあります。どんなに過酷な状況でも、快適さと尊厳が保たれるべきです。
臭いによるストレスは、言葉にしづらく、訴えにくいものです。しかし、それに先回りして対応できる備えがあるということは、災害弱者を守ることにもつながります。
プロテクトアーツの取り組みは、「空気」という見えない存在に科学の力で応え、人々の心の健康を支える新たな選択肢を提示しています。これからの避難所において、「においのない空間」がスタンダードになる日が、そう遠くない未来に来るかもしれません。